完全義務化になったHACCPって知ってますか
こんにちは! あますた(@amaguristar)です。
- 「2021年6月から完全に義務化になったけど、具体的に何をすれば良いの?」
そう思う事業者の方も多いのではないでしょうか?
そんな方向けに実際に飲食店を経営してる筆者が厚生労働省のサイトに掲載されてる資料を基に簡単に説明させて頂きます。
目次
動画でも説明してます↓↓↓
>> https://youtu.be/isgyOv_4V7I
いつから義務化になったの
- 2018年6月、「食品衛生法」の改正法案が可決。
- 2020年6月から食品を扱う全事業者に対してHACCPによる衛生管理の義務化を開始。
- 1年間の猶予期間を経て、2021年6月から、HACCP導入・運用が完全義務化。
という流れ。つまり、「2021年6月からは完全義務化なので対応しないといけませんよ!」 ということ。
HACCPとは
「HACCP(ハサップ)」は、NASAが宇宙食の安全性を確保するために発案された衛生管理手法。
食品業界で評価され、次第に世界に広がり、国際的な衛生管理の手法として定着。
HACCPの名称の由来は
- H:Hazard(危害)
- A:Analysis(分析)
- C:Critical(重要)
- C:Control(管理)
- P:Point(点)
の頭文字を取った造語。
- HA:危害要因分析
- CCP:重要管理点
の2つに大別される。それぞれ簡単に説明。
HA:危害要因分析
健康被害に繋がる恐れのある原因がないか、原材料から出荷に至るまで調査すること。
※ 食中毒、有害化学物質、異物など
CCP:重要管理点
HAに基づき、健康を損なわない程度に確実に減少・除去するため、重要なポイントを断続的に管理、記録する。
※ 加熱・冷却・包装の温度管理や時間など
具体的に何をすればいいの
事業者の規模によって取り組みが違います。とはいえ、どちらも大まかにやることは4つ。
- 「衛生管理」に基づき衛生管理計画を作成し、従業員に周知徹底を図る
- 洗浄・掃除・消毒や食品の取り扱いについて具体的な手順書を作成する
- 衛生管理の実施状況を記録、保存する
- 上記で作成してた、手順書・衛生管理の記録を定期的に見直し、必要に応じて修正する
まとめると、
『衛生管理計画と具体的な手順書を作成して従業員に守らせて記録を保存しておきましょう』 ってこと。
「規模によって取り組みが違う」と先程書きましたが、具体的には
- HACCPに基づく衛生管理
食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な皇帝を管理するための取組 - HACCPの考え方を取り入れた衛生管理
取り扱う食品の特性等に応じた取組
の2つに別れます。
1. HACCPに基づく衛生管理
コーデックス(※1)のHACCP7原則12手順に基づき、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造方法に応じ、計画を作成し、管理を行う。
HACCP7原則12手順
- HACCPのチーム編成
- 製品説明書の作成
- 意図する用途及び対象となる消費者の確認
- 製造工程一覧図の作成
- 製造工程一覧図の現場確認
〈手順1~5:原則1~7を進めるにあたっての準備〉 - 【原則1】危害要因分析の実施(ハザード/HA)
- 【原則2】重要管理点(CCP)の決定
- 【原則3】管理基準(CL)の設定
- 【原則4】モニタリング方法の設定
- 【原則5】改善措置の設定
- 【原則6】検証方法の設定
- 【原則7】記録と保存方法の設定
〈原則1~7 危害要因分析&HACCPプランを具体的に作成〉
※1 Codex(コーデックス)とは
国連機関であるFAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同で1963年に設立した国際食品規格委員会及び食品規格。日本を含む187ヶ国と1機関(EU)が加入している。
対象事業者
- 大規模事業者
- と畜場(と畜場設置者、と畜場管理者、と畜業者)
- 食鳥処理場(食鳥処理業者(認定小規模食鳥処理業者を除く))
2. HACCPの考え方を取り入れた衛生管理
各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行う。
対象事業者
- 小規模な営業者等
小規模な営業者について
食品の製造、加工、貯蔵、販売などの営業を行う者で、従事する者の数が50人未満である事業場(※2)。
つまり、飲食店、菓子の製造販売、食肉・魚介類の販売などが入ります。
ちなみに、「食品を分割して容器包装に入れ、小売販売する営業者」も含まれるため『八百屋、米屋、コーヒーの量り売り など』も対象です。
詳細は下記の『厚生労働省 HACCP(ハサップ)のサイト』で確認して下さい。
※2
事務職員などの食品の取扱に直接従事しない者はカウントしない
小規模な一般飲食店における衛生管理
ここからは厚生労働省の出した『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)』を基に具体的に説明します(下記にリンクを貼っておきます)。
主に下記3つを説明。
- 衛生管理計画の策定
- 計画に基づく実施
- 確認・記録
注意
先程『具体的に何をすればいいの』では4つ書きましたが、今回は簡略化するために3つにしてあります。当然、ある程度で見直す必要がるので「4」もする必要があります。
1. 衛生管理の策定
- 一般的衛生管理
- 重要管理
の2つに分けられます。
一般的衛生管理
どの食品についても行うべき共通事項。
- 原材料の受入の確認
- 冷蔵庫・冷凍庫の温度の確認
- 交差汚染・二時汚染の防止
- 器具等の洗浄・消毒・殺菌
- トイレの洗浄・消毒
- 従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など
- 衛生的な手洗いの実施
一見すると「大変だな」と思うかもしれませんが、厚生労働省のサイトにリストがあり、例も載ってます。
それぞれ、「いつ」「どのように」「問題があったとき」の3点だけ。ここはお店により違うと思いますので、例を見ながら作成しましょう。とても簡単です。
一応、掲載されている例をのせます。
重要管理
全てのメニューを3つのグループに分類し、チェック方法を決めます。
- 非加熱のもの(冷蔵品を冷たいまま提供)
- 加熱するもの(冷蔵庫を加熱し、熱いまま提供)
※ 高温保管を含む - 加熱後冷却し、再加熱するもの、または加熱後冷却するもの
どんなにメニューが多くても上記3グループに分けることが可能です。
2・3. 計画に基づく実施と記録
具体的にすることをまとめたらあとは実施。
『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店向け)』ないにある手引書に沿って実行。内容を簡単にまとめると下記6つ。
- 原材料の受け入れ確認
- 冷蔵庫・冷凍庫の温度の確認
- 交差汚染・二次感染の防止
- 器具等の洗浄・消毒・殺菌
- トイレの洗浄・消毒
- 従業員の健康管理・衛生的な作業着の着用など
上記について、実施し、都度記録します。
記録の仕方もサンプルが手引書内にあります。
「1」の衛生管理計画の策定さえできればあとは実施・記録するのみ。
記録する為の雛形は各自治体でダウンロード可能。手引書とは若干違いますが、自治体が作成してますし、内容さえきっちりしてれば良いので問題ないはず。
東京都は下のページからダウンロード可能です。
>> 東京都福祉保健局 HACCPに沿った衛生管理の制度化へ
上記サイトに行き、下へスクロール。『HACCP取組支援(衛生管理ファイル)』という項目からダウンロード可能。自分はこれを利用してます。
まとめ
HACCPとは、NASAが宇宙食の安全性を確保するために発案された衛生管理手法。
- H:Hazard(危害)
- A:Analysis(分析)
- C:Critical(重要)
- C:Control(管理)
- P:Point(点)
の頭文字を取った造語。
事業規模や業種により、『HACCPに基づく衛生管理』と『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理』のどちらか2つに別れる。
小規模事業者は『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理』を実施。主にやることは3つ。
- 衛生管理計画の策定
- 計画に基づく実施
- 確認・記録
手引書を見ながら作成すればメニューの数にもよりますが、30分〜1時間位で、できると思います。
>> 厚生労働省 HACCP へ
>> 厚生労働省 食品等事業者団体が作成した業種別手引書 へ
>> 東京都福祉保健局 HACCPに沿った衛生管理の制度化へ
動画でも説明してます↓↓↓
>> https://youtu.be/isgyOv_4V7I
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